2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

おそれ入谷の鬼子母神

七夕をはさんで三日間、台東区の入谷鬼子母神前で開かれる朝顔*1市をのぞいてきた。下町情緒たっぷりの行灯(あんどん)作りの朝顔が、ことしは天候に恵まれ大輪の花を競う▼浴衣姿の親子連れ、カップルの出足も好調で、呼び込みの声にも力が入る。どの店にも…

カマキリ

祈り虫、おがみ虫、ともいわれるカマキリだが、学名マンティスのもととなったギリシャ語のマンティダエはずばり「予言者」「占師」のことだという。カマを持ち上げて獲物を狙う姿勢が、人の拝む姿を思わせるためらしい▲雪の多い地方では、カマキリが卵を産み…

天明二年壬寅十二月

諏方神社の鳥居には「新堀谷中総鎮守」と読める扁額がかかっている。その柱の銘には天明二年壬寅十二月、天明二年とは1782年。「日本地図地名事典」によると日暮里は「寛延年間(1748-51)以前は新堀と書いた」とある。諏方神社の由緒書きによれば「寛永十二年…

セラピーロード

古代ギリシャの医聖ヒポクラテスは、人間と自然の調和を重視していた。体内の営みと自然とのバランスが崩れた時、病気になると考えた。そうであるならば、生活に追われて疲れた現代人が病気になった時には、自然に身を任せるのが一番の“治療”ということにな…

永久欠番

そこは、屋敷の中の菜園である。トマトのような実がたくさんなっている。そばで遊んでいる孫を驚かそうと、オレンジの皮を口にはめこんでおどけてみせていた祖父が、突然倒れる――。ドン・コルレオーネの最期だった。 コッポラ監督の「ゴッドファーザー」で、…

七夕のロマンに託した思いの深さ

色とりどりの短冊に願い事を記した笹(ささ)の葉がベランダで揺れている。「いくたびかゆきかへるらむ七夕の くれいそぐまの心づかひは」。平安末期の閨秀(けいしゅう)歌人、建礼(けんれい)門院右京大夫(もんいんのうきょうのだいぶ)は七夕の伝説に寄…

青いバラ

花の名前はいろいろだが、単純な発音なのに漢字ではとても複雑な字形になることがある。たとえば躑躅(つつじ)で、薔薇(ばら)もまたそうだろう。バラという花自身、単純な美しさと複雑な魅力をあわせもっている。 15世紀の英国のばら戦争では、ヨーク派…

少女の居場所

東京・新宿の五歳男児突き落とし事件は、加害少女(13)に対する東京家裁の審判が始まり、少女は弁護人の申請どおり精神鑑定を受けることになった▼当事者二人が外国籍という事件の特異性は、特異でもなんでもなく、実は国際化した日本の大都市の盛り場では…