つきじ獅子祭


曇 26.2-20.6-58 12911

築地、明石町、湊、八丁堀<14:41:39-17:13:14>。
つきじ獅子祭。古い木造の街並が残る築地6・7丁目を歩く。

 大正時代にあった雄雌30対ほどの獅子頭は、関東大震災でほとんどが焼失。以来神輿だけの巡行が続いたが、木場の海底で樹齢3000年の黒檜の大木が見つかり、その提供を受けて平成2年に雄獅子、平成14年に雌獅子を復元、獅子頭の巡行が復活した。*1

*1:『ふるさと芸能めぐり』2008年05月21日

森山大道


曇 22.4-14.7-55 12095
恵比寿、三田、恵比寿南、目黒、下目黒、上大崎<14:17:57-16:41:43>。

東京都写真美術館森山大道を見る。自己には資料、見る人には印象。「小樽」。

「写真はコピーである、と自分で言い聞かせているんです。外界をコピーして、資料をどんどん集める感覚」

報復代行

 深夜の山中から、マイクを手にした背広姿のリポーターが、現場の様子を伝える。テレビ各局引きも切らず、中には早朝番組のためか、朝ぼらけの現場というのもあった▼女子高専生(20)を殺害した疑いで全国手配されていた同級生の少年(19)が、自殺遺体で見つかった山口県の現場からの中継だ。同じテレビが今度は、告示された自民党総裁選候補三人にカメラを切り替える▼いずれも小泉内閣の閣僚。同じ「構造改革路線の継承」をいうから大差はない。テレビへの露出度で断然他を圧倒してきた安倍晋三官房長官の圧勝とみられ「消化試合」の酷評も▼こうして一方的にテレビや新聞が連日流す情報の公共性とは何かということを自戒を込めて考える。山口の事件では、加害少年の情報を警察が公表しなかったことに被害者の両親が不満を訴えて、自らカメラの前に姿をさらす痛ましい映像が流れた▼批評家の小浜逸郎さんは『「責任」はだれにあるのか』(PHP新書)で、週刊誌の「報復代行」を思わせる加害少年の実名、写真報道の是非をいう前に、被害者の姓名や顔写真公表が自明視される風潮への疑問を投げかける。女子高専生の場合は、犯行と直接関係ないピアノ演奏や、バレエ演技の映像が連日、各局のワイドショーで流された▼ビデオカメラの普及で、犯罪被害者の生前の映像が繰り返しテレビに流れるのは常態化している。少年の行方を詮索(せんさく)するコメンテーターたちには、犯行直後にすでに自殺していた少年の悔悟と悲しみに思いを致す発言は、少なかったように思う。*1

*1:筆洗 2006年9月9日[土]

マザー・テスト

 「最も美しい英単語はマザー(母親)」。英国の国際交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が、英語を母国語としない世界の4万人に尋ねた結果だという。以下パッション(情熱)、スマイル(笑顔)、ラブ(愛)と続いたが、70位までにファーザー(父親)は見当たらなかった。

 「マザー・テスト」という言葉が米国にはあるそうだ。戦場などの危険の伴う任務を兵士に命ずる最高責任者は大統領である。もしも兵士が死んだら、大統領は、その母親に何と言うのかというテスト(試練)だ。

 「犠牲者が出てからでは遅い。現地の治安は議員が5、6時間見ただけで分かるとは思えない」。今イラクに派遣されている自衛隊員の母親の言葉だ。これまでの隊員の無事は、いわば薄氷の上の無事で、いつ割れるかと案じられるのだろう。

 政府は、イラク派遣の1年延長を決めた。この基本計画の変更で、現地の治安状況などの諸事情を見極め、「必要に応じ適切な措置を講じる」と追加した。一見当たり前のようにも見えるが、今追加することには、いくつもの疑問がわく。

 必要なら最初の派遣の時から入っているべきものを、今になって加えるのは、派遣延長に反対が強い世論への対応策なのか。この追加がなければ「適切な措置」は講じられないのか。では、これまでの1年は、どうだったのか。

 息子がイラクで戦死した米国の母親の言葉が、この夏に載っていた。「私の人生で最も空虚な手紙だった」。その手紙は、戦死者の遺族に米大統領が送る定型のお悔やみだったという。
(天声人語)

可愛いおばあちゃん

 口にするのも恐ろしい『オニババ化する女たち』(三砂(みさご)ちづる著、光文社新書)を書店でみつけ、レジの女性に「オニババにならないよう、若い女性必読だって」と軽口をたたいたら、「もうなっているかもしれませんよ」と返された。
 月刊誌『POCO21』1月号(橋本克彦編集長)に、その三砂さんのインタビューが載っている。疫学の専門家として海外で国際協力活動に携わり、ブラジルで助産師育成プロジェクトに参加。国立公衆衛生院を経て現在、津田塾大教授。
 少子化現象は、月経や出産など、女性であることを喜びと感じなくさせた産業社会の問題である。女性の身体性を取り戻すこと。とりわけ出産と授乳という、最もインパクトのある体験を戦後の女性から取り上げたのはミルク会社や産院の「組織的犯罪」だと告発する。
 「良いお産をして穏やかな可愛(かわい)いおばあちゃんになることが女性の憧(あこが)れであるように。オニババにならないために女性の中心軸、骨盤底筋に意識を向けること」。それができた九十歳以上の日本女性は経血すらコントロールできた。
 三砂さんにはフィリス・K・デイヴィスの詩を訳した絵本『わたしにふれてください』(大和出版、絵・葉祥明)もある。「もしわたしがあなたの赤ちゃんなら どうぞ、わたしにふれてください 今までわたしが知らなかったやさしさを あなたからもらいたい…」。
 この詩は口コミで広がり、よしもとばななさんが「人に触れるのをためらうときにいつもこの詩を思って勇気を出すようになった」と賛辞を寄せる。*1

*1:筆洗