2004-08-02から1日間の記事一覧

石橋秀野

鐘鳴れば秋はなやかに傘のうち前書に「東大寺」とある。句の生まれた状況は、夫であった山本健吉によれば、次のようである。「昭和二十一年九月、彼女は三鬼・多佳子・影夫・辺水楼等が開いた奈良句会に招かれて遊んだ。大和の産である彼女は数年ぶりに故国…

夏の音

夏の音というと、まずセミの鳴き声を思い浮かべる。騒々しい音とはいえ、夜になれば静まるし、秋風とともにやがて消えていく。騒がしさのなかに移ろいのはかなさを秘めている。 風鈴はどうだろうか。音で風を知り、涼しさを感じる。昔の人の知恵である。こち…