2004-07-22から1日間の記事一覧

幸田文の浴衣

じわじわと暑さが募るこの時期の湿気というものは、世界にも、そうは無いだろうと思う。多少なりとも気分をからりとするために、浴衣の季節到来と考えてみる。 百貨店の売り場を巡ると、浴衣姿の若い売り子が並び、着物に詳しそうな年配の店員も居た。総じて…

逝きし東京の面影

幸田露伴の短編「太郎坊」に、低い空をコウモリが舞う夏の夕べ、一家の主人が庭に打ち水をする場面があった。「甲斐甲斐(かいがい)しくはだし尻端折(しりばしょり)で庭に下り立って、蝉(せみ)も雀(すずめ)も濡(ぬ)れよとばかりに」威勢よく水をま…