“岡田若”に「切り返し」を食らってしまった

 琴ノ若に投げ飛ばされて裏返しになったが、物言いがついて同体。取り直しの結果、切り返しで朝青龍の勝ち。大相撲名古屋場所八日目結びの一番だ▼その直後、午後六時段階の調査で投票率は伸び悩み、自民、民主大接戦の予測が出た。まるで相撲だ。事前の世論調査では、イラク多国籍軍参加や、年金問題での後出し、はぐらかし答弁で小泉自民党に逆風が吹くとみられた▼選挙戦後半には、拉致事件曽我ひとみさん一家のインドネシアでの再会という「奇手」が出た。友党・公明党の「かばい手」にも助けられ、なんとか目標五十一議席確保の「同体」に持ち込んだとの予測だった▼ところが、午後八時の投票締め切り直後に公表されたNHKと民放各局の出口調査では一斉に民主党優勢と出て、各党の開票本部が色めき立つ。東京、神奈川はじめ四人区、三人区で二人当選を果たし、東北、九州の一人区でも接戦となる▼どうやら行楽帰りで夕方以降の投票が多いとみられた若年層の票がかなり民主党に投じられた気配がある。やはり年金問題の影響だろう。東京選挙区の本紙出口調査を見ても「未納隠し」の自民党は、若者たちから厳しい審判を下されたとの傾向がでていた。若者たちは今回、投票所へ足を運んだようだ▼相撲と違って参院選では「同体」のあと仕切り直した“小泉龍”は“岡田若”に「切り返し」を食らってしまった。小泉首相は若年層への心配りが足りなかったことを思い知ったことだろう。若者をなめてはいけない*1。(筆洗)

*1:若者よ、どうか自分たちのために投票所に足を運んでほしい。韓国で盧武鉉大統領を誕生させたのは若者パワーだったことを思い起こしつつ。「筆洗」2004/07/11