海水で車が燃えた

サネカズラ 01

 また大型の台風23号だ。これでことしの上陸は十個目。東京都心では十月の雨量が二十日正午で五八一ミリを超え、観測史上最多となった。平年の三倍に達し、まだまだ更新しそうだ▼おかげで西武ドームで予定の日本シリーズ第4戦は順延された。第3戦は満塁本塁打の応酬でせっかく盛り上がったところに水を差された。もっとも保有株の過少記載で辞任を表明した西武の堤義明オーナーは、公表前の株売却にインサイダー取引疑惑の火が付いてシリーズや台風どころではないかも▼台風23号は高知から大阪に再上陸。またしても列島縦断だが、日本自動車連盟の機関誌『ジャフメイト』11月号が、緊急特集「海水で車が燃えた」を組み、意外な台風被害への注意を呼びかけている▼さる八月末に上陸した台風16号の高潮で、市街に海水が流れ込んだ高松市中心部で「車が燃えている」という一一九番通報が二十二件も続いた。海水につかった無人の車が次々燃えだすという不思議な事故。原因を調べると、キーを抜いても電気が来ているヒューズボックスなどの電気配線板が海水で腐食してショート。その熱で発火したらしい▼編集部が再現実験をしたところ、車のヒューズボックスをバッテリーにつなぎ、海水に十分間つけたあと、しずくが垂れている状態で様子を見ると、配線に腐食の化学反応が始まり、二時間後に炎が上がった▼高潮が予想されたら安全な場所へ車を移動するかバッテリーを取り外しておく必要がある。クマの出没騒ぎといい、今年の台風は思わぬ被害を生む。(筆洗)